オープンソース戦略や顧客の囲い込みなどの重要性が認識されるようになるにつれ、改めてネットコミュニティの存在とそのポテンシャルの高さが注目されている。しかし、いざネットコミュニティを構築し運営するとなると、そのすべては管理者の知恵と経験に頼っているのが現状だ。場所は作ったもののコミュニティが育たず閑古鳥が鳴いてしまったり、フレームと呼ばれる争いによって急速にコミュニティが収縮してしまったりといったことを身近に経験して、コミュニティの構築・運営の難しさを身にしみて感じている人も多いだろう。『ネットコミュニティ戦略』は、そんなネットコミュニティの難しさを実感している人にうってつけの本である。 活発なコミュニティを作り上げ、成功に導くにはどうしたらよいのか。eBayやウルティマオンライン、ジオシティーズといった成功例を挙げて、3つのコミュニティデザイン基本原則と9つの戦略原則など、ネットコミュニティの奥義をわかりやすく解説している。本書には、プログラミングや各ツールの設定、ビジネスプランの立案や資金調達、広告戦略、メンバー獲得戦略といった、お金儲けに直結した方法論は書かかれていない。どちらかといえば、いかにメンバーを引きつけ、引きとめておくような活気に満ちたコミュニティを構築するか、また成功したコミュニティが直面するデザインや技術、ポリシーの問題への対処方法などが中心に書かれている。特にコミュニティ運営の非常に深い部分、社会的・文化的なダイナミズムや人間関係における役割や儀式、イベントの意味などに言及された内容は勉強になる。 いまやネットコミュニティを運営することは、インターネットを使い込んでいる側からすれば特別なことではない。ビジネスとしてネットコミュニティにかかわっている人はもちろんだが、よりインターネットを使いこなしたいという人にも、ぜひお勧めしたい。(保坂昇寿)
「あたりまえ」のことを文章化できる才能に驚愕
たぶん、実際に売れているサイトや、売れ筋商品をかぎわけて買い付けるバイヤーさんだったら瞬時にこの本1冊くらいの処理が、脳内でピピピピとなされていると思います。
こう、当たり前のことをここまで図解し言語化できる著者がまずすごい。
だって本書の目的が「成功するコミュニティを作る」ですからね。実際にWebコンサルティング会社を設立、運営し、スタンフォード大学でも教えている著者自らの実地に基づいた見解なわけです。もうエッセンスがぎっしり。
ただ、その力のないワナビーな人がこれをチラ見して実行してもきっと何にもならないでしょう。本書を読んで「なーんだこんなもんか」と「思わない人」が行動者になれる気がします。
インターネット利用者には読んで欲しい
ネットコミュニティを成功に導くためのスキルについて述べている。 冒頭の戦略と基本で骨子が述べられており、あとは自分が構築したり知っているサイトから実例を引いて解説する形で、すごく具体的である。細かいスキルが参考になる点は多い。 結局はこまめに神経が行き届いた管理と、参加意識をいかに醸成して持続させるかという方法論なのだが、ネットコミュニティ先進国のアメリカのしかもこの分野のパイオニアだから書ける本だと思う。 ネットを基点とした犯罪が珍しくなくなった今、どのように考えているのかを作者に聞いてみたい。
ネットに関わらず暮らすものにとって
還暦を後数年で迎える私にとって、コミュニティは現実の暮らしの場に対象があります。まさかインターネットを通じて人と人とが会話し、結果として自己実現が図れるとは思ってもみませんでした。 この本はビジネスの側であるコミュニティ・ビルダーを対象としていますが、ネットコミュニティに参加する側の基本ルールについて書き込んでいます。 マスコミにおいてはとかくネットは危険だとか、ウイルス問題など、ネットコミュニティについて負の側面が強調され、本来的に内包する積極的な側面がかき消されているといっても過言でない現実があります。 私のような年代には、ネットなしでも快適に暮らしていけますが、反面でネットコミュニティに参加することによって新たな自己発見ができるのではないか、わくわくする期待をこの本は示唆してくれます。
翔泳社
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